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なぜ眠るのか?〜体と脳を休ませる

 
なぜ眠るのか・・・・この問いは完全には解明されたわけではありませんが、ある程度分かってきています。

べつにむずかしい睡眠科学を知らなくても、なぜ眠るのか?と問われたら、きっと眠くなるから、と答えることでしょう。つまり、しぜんと眠くなる体と脳の仕組みがあるから、意識しなくても夜一定の時間がくると、寝付けるわけですね。不眠症や睡眠障害は、こうした仕組みがうまく機能しないか、体内時計がずれてしまったために起こります。

日中にはさまざまホルモンが使われています。
するとその分解産物が睡眠物質(疲労物質)となり、それが睡眠中枢に作用して、しぜんと眠くなってくる仕組みがあります。ストレスがあると眠くなるのは、副腎皮質ホルモン(ACTH)が分解されるため、睡眠物質となり眠くなる仕組みが働いているからです。これは睡眠の液性機構ですが、神経機構によっても睡眠はもたらされます。

人間には、脳幹部の視床下部にある視交叉上核に、もともと体内時計が備わっています。ふだんは太陽の光(朝日)によって、毎日、25時間を24時間に修正しています。しかし光がまったく射さない地下室であっても、一定のリズムで睡眠と覚醒が現れるという実験結果があります。つまり人間は、もともと自然と眠くなる仕組みを備えているといえるのです。これは大脳への刺激が少なくなるために、しぜんと眠りをもたらす神経機構のしくみです。そのほか体内時計に従って体温が下がり、メラトニンというホルモンが分泌されるため眠くなるともいえます。

 


今度は別の観点から、人はなぜ眠るのか、睡眠の役割を見ていきましょう。
睡眠を取る理由は、大きく分けると以下の点に集約されます。

 ・ 脳のオーバーヒートを防ぐため (ノンレム睡眠)
 ・ 記憶の整理、心を健康に保つため (レム睡眠)
 ・ 細胞の修復のため (ノンレム睡眠時の成長ホルモンの分泌)
 ・ 免疫力を高めるため (ノンレム睡眠)

まずなぜ眠るのかというと、脳のオーバーヒートを防ぐためです。
人は日中起きている間は、ずっと脳が活動しています。いろいろな物を見たり聞いたり、話したり、運動したりというように、脳をフル回転させているため、脳の温度がかなり高くなっています。そのため、どこかで脳の熱を冷ます必要があります。それが睡眠なわけです。厳密にいうと浅いレム睡眠中は、脳が活発に働くために温度が高めです。そこでノンレム睡眠で大脳の機能を低下させて、脳の温度を冷ましているといえます。

つぎになぜ眠るのかというと、頭の中に乱雑に存在する記憶を本棚に整理するためです。日中、人はいろいろな経験をします。これは実体験ということのほかに、本を読んだり、勉強したり、学習したり、運動したりということも含みます。このままの状態では、単に脳内(とくに大脳辺縁系にある海馬=短期記憶)にとどまったまま。それを睡眠中に、大脳にある本棚の同じカテゴリーの箇所にしまっていくのです。これが記憶の定着であり、この反復が長期記憶へとつながっていきます。

朝起きたとき、昨日学習したことが、すっきり整理されたような感覚になったことはありませんか?これはレム睡眠中に、記憶の取捨選択が行なわれ、大脳に定着したからです。そのため一夜漬けという勉強法は、その当日はいいかもしれませんが、記憶の固定が行なわれていないので、すぐに忘れていってしまうのです。こういった記憶の固定は、勉強だけではなく、運動機能や動作でもいえます。難しい動作を反復練習して一晩睡眠を取ると、昨日よりもうまくできたりするわけです。

なぜ眠るのかという問いに対しては、心の健康を保つためと答えることもできます。これは記憶の整理ともつながるのですが、人はレム睡眠中に昨日起こった出来事の取捨選択を行なって、いらないものは忘れるようになっています。一晩たつと、嫌なことの記憶がうすれていることがあるのは、このためです。浅い眠りであるレム睡眠は、うつ病を予防してくれているわけですね。ただし強烈な印象が脳に刻み付けられてしまうとトラウマや心的外傷後ストレス障害となって、いつまでも尾を引いてしまうということが起こります。

最近の夜型社会の傾向として、睡眠時間が短くなってきていますが、睡眠時間が短すぎると、精神疲労を回復させるレム睡眠が十分とれないことになります。その結果、うつ状態、やる気が出ない、イライラする、落ち込みやすいなどの精神症状が起きる危険があります。心を健やかに保ちたいならば、つねに十分な睡眠時間を取るべきでしょう。朝早いビジネスマンなら、むずかしいかもしれませんが、早く床につくことが安眠と日常の充実に結びついていきます。

 


ここまでは、おもに脳や心のメンテナンスのために睡眠を取るということでした。そのほかに、なぜ眠るのかといえば、体のメンテナンスのためです。日中生活していると、どうしても細胞が傷んだりします。活性酸素は体内でつねに発生しており、抗酸化酵素や抗酸化物質がつねに闘ってくれています。しかし、それでも細胞に傷がつきがちなので、どこかで細胞を修復しなければなりません。その場が睡眠時間なのです。運動をしている人や筋力トレーニングをしている人は、とくに筋繊維が断裂するという現象が起きます。(これが修復されると超回復という現象が起き、筋肉が太くなるわけです)

眠り始めの3時間(とくに90分)は、脳下垂体から成長ホルモンが分泌されます。このときに細胞の修復が行なわれるのです。また日中、紫外線などで傷んだ皮膚を再生してくれます。つまり美容のためにも大切な90分ということ。子供の場合は、体の発育にかかわっています。まさに寝る子は育つ、というわけですね。高齢になると、体の成長を促す必要がなくなってくるために、ノンレム睡眠が浅くなり、成長ホルモンの分泌量も低下します。そのため夜中に目覚めやすくなります。もちろん眠りづらくなることには、メラトニンの分泌量の低下も関係しています。

なぜ眠るのかというと、そのほかに免疫力を高めるためでもあります。日中にも免疫細胞は体を守るために頑張ってくれています。ところが頑張ってばかりでは、さすがに疲れてしまいます。こういった免疫細胞もどこかで休ませなければなりません。それが睡眠なのです。とくに眠り始めの3時間に免疫細胞は回復し、元気になります。ちょうど成長ホルモンが分泌されている時間帯と一致します。つまり眠り始めの3時間は、体の回復のために重要な時間帯であるといえるのです。

 


病気になると、どうして”うとうと”して眠くなるのでしょうか?
これにはサイトカインというホルモン様物質がかかわっています。細菌が体内に侵入すると、白血球が対処しますが、このときインターロイキン1というサイトカインを放出します。これが脳内に入ると、睡眠物質であるプロスタグランジンD2と、発熱物質であるプロスタグランジンE2を作ります。そのため風邪などになると、熱が出るとともに、うとうとするわけですね。うとうとさせて眠らせることで興奮をしずめ、熱を出させることによって免疫力を高めているのです。

余談ですが、体が不調のときは小食にしたほうが、消化酵素を使わず、そのかわり代謝酵素が活発に働くようになります。その結果、病気の治りが早くなるといわれています。ただし栄養バランスは大切です。動物でも体の調子が悪くなると、食事の量を減らして対処しているのです。この場合、睡眠中の免疫力だけではなく、起きている最中も免疫力を最大化させて病気に対処しているといえます。
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